「また不安になってしまった。」
そんな自分を責めたことはありませんか?
でも、ヨガ哲学では、不安そのものを悪いものとは考えません。
不安や悲しみ、怒りは、人間なら誰にでも起こる自然な心の働きです。
では、なぜ私たちは苦しくなってしまうのでしょうか?
苦しみを大きくするのは「心の習慣」
例えば、
誰かに何気ない一言を言われたとき、
Aさんは気にせず過ごせます。
でも、Bさんは一日中その言葉を考え続けてしまいます。
その違いを、ヨガ哲学ではサンスカーラという言葉で説明します。
サンスカーラとは、過去の経験によって心に刻まれた「心の通り道」のようなものです。
例えば、
・ちゃんとしなければ価値がない
・人に迷惑をかけてはいけない
・失敗してはいけない
そんな思いを何度も繰り返していると、それがサンスカーラ(心の習慣)になります。
だから似た出来事が起きるたびに、自動的に同じ反応が起こるのです。
苦しいのは、不安があるからではない
ヨガ哲学では、
苦しみは「不安があること」ではなく、
不安と自分が一体になってしまうことだと考えます。
例えば、
「私は不安だ。」
と思っているとき、
私たちは不安そのものになっています。
でも少しだけ立ち止まって、
「今、不安という感情が湧いているな。」
と見ることができたらどうでしょう。
そこには、
不安を感じている自分と、
その不安を見つめている自分がいます。
ヨガでは、この「見つめる力」を育てていきます。
ヨガは「苦しくならない人」を目指すものではありません
生きていれば、
不安になる日もあります。
悲しい日もあります。
落ち込む日もあります。
ヨガが目指しているのは、
苦しくならない人になることではありません。
苦しくなっても、その体験を観察し、理解し、安心へ戻ってこられる力を育てること。
それが、ヨガの練習です。
なぜヨガやヨガニドラをするのでしょう?
ヨガやヨガニドラでは、
呼吸を感じたり、
体の感覚を観察したり、
浮かんでくる思考を追いかけずに見つめたりします。
一見すると、とてもシンプルなことです。
でも、この時間を繰り返すことで、
「私は思考そのものではない。」
「私は感情そのものではない。」
という感覚が少しずつ育っていきます。
そして安心した状態で過去の出来事を思い返せるようになると、
「あぁ、また『ちゃんとしなきゃ』が出てきたんだ。」
と、自分の心の習慣にも気づけるようになります。
ヨガでは、このようにして古いサンスカーラの影響が少しずつ弱まり、
代わりに
「今は安全。」
「私は大丈夫。」
という新しいサンスカーラが育っていくと考えます。
今日からできる小さな練習
苦しくなったその瞬間に観察するのは、最初はとても難しいことです。
だから、まずは「後から振り返る練習」で十分です。
夜、少し静かな時間を作ってみてください。
そして今日あった出来事を一つ思い出します。
次の順番で見つめてみましょう。
① どんな出来事だった?
② そのとき体はどう反応した?
(胸が苦しかった、肩が固まった、呼吸が浅くなった…)
③ どんな感情があった?
(悲しい、怖い、悔しい…)
④ どんな考えが浮かんでいた?
(ちゃんとしなきゃ、嫌われたかも…)
そして最後に、
そっと呼吸を感じながら、自分に伝えてあげてください。
「あの時は苦しかったね。でも、今ここにいる私は安全。」
この一言だけで十分です。
安心した状態で出来事を見つめ直す経験が、少しずつ心の習慣を変えていきます。
私たちは、不安にならない人を目指す必要はありません。
不安になっても大丈夫。
悲しくなっても大丈夫。
その体験を優しく見つめ、
何度でも安心へ戻ってこられる力を育てていく。
私は、それがヨガの本当の魅力だと思っています。
安心は、生まれつきの性格ではありません。
毎日の呼吸と、小さな気づきの積み重ねで育てていける力なのです。
◎安心の土台を育てるマンツーマンプログラムはこちら